○不破消防組合火災調査規程事務処理要綱
平成30年7月5日
訓令甲第4号
(趣旨)
第1条 この訓令は、不破消防組合火災調査規程に基づき、規程の施行及び事務処理について必要な事項を定める。
(火災件数の取扱い)
第2条 火災件数の取扱いに関する細部については、次のとおりとする。
(1) 1件の火災として取扱うもの
ア 同一の消防対象物で、1箇所から出火した火災
イ 同一の消防対象物で、出火点が2箇所以上ある次の火災
(ア) 地震、落雷等自然現象による多発火災
(イ) 漏電点が同一の漏電による火災
(ウ) 同一人又は意志の連絡のある2人以上の者による連続放火又は火遊びによる火災
(2) 飛び火による火災及び同一の消防対象物で火災現場から消防隊が引き揚げた後に発生した火災は別件の火災とする。
2 1件の火災が他消防本部の管轄区域にまたがる場合には、火元を管轄する消防本部が主体となり1件の火災として処理するものとする。
(建物火災における建物の取扱い基準)
第3条 建物としての最低の基準は、原則として床面積1.5平方メートル以上のもので通常人が容易に出入りできる高さ概ね1.8メートル以上を有するものとする。ただし、構造等から建物として取扱うことが不適当なものは、この限りでない。
(建物火災における構造別の区分)
第4条 建物の構造は次の5種に区分し、その内容は当該各号に掲げるとおりとする。なお、以下にいう「建築物」とは、建物と同意語とする。
(1) 木造建築物 柱及び梁が主として木で作られたものをいう。(防火構造建築物を除く。)
(2) 防火構造建築物 外壁又は軒裏が建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「建基法」という。)第2条第8号に定める構造のものをいう。
(3) 耐火建築物 建基法第2条第9号の2に定めるものをいう。
(4) 準耐火建築物 建基法第2条第9号の3に定めるものをいう。
(5) その他の建築物 前各号に該当する建築物以外のものをいう。
(建物火災における棟の取扱い)
第5条 建物の棟数の取扱いは、建物の構造、規模及び使用形態等によって、次のとおり及び別記とする。
(1) 同一棟とする場合
ア 主体構造(外壁、梁、柱、小屋組、屋根)が一体となっているものは1棟とする。ただし、渡り廊下の類で2以上の棟に接続しているものは、その部分を折半して別棟の扱いとし、それぞれの棟と同一の棟とみなす。(建基法の棟の取扱いとは異なるので、注意を要する。)
イ 木造の外壁を利用して下屋を作り、物置、風呂場等に使用しているものは、母屋と同一棟とする。(別記図1)
ウ 構造のいかんにかかわらず、屋根及び小屋組が一体となっているものは、同一棟とする。(別記図2)
エ 木造建築物又は防火構造建築物の一部に耐火構造の階段室、車庫等があっても、それらが建物の機能上一体である場合は、同一棟とする。(別記図3)
オ 木造建築物又は防火構造建築物が防火壁で区画されていても建物の機能上一体である場合は、同一棟とする。
(2) 別棟とする場合
ア 独立した建物と建物の間に日除け、雨除けのために屋根蓋を設け、その下を通路等に使用している場合は別棟とする。(別記図4)
イ 耐火建築物の屋上に木造建築物、防火構造建築物又は準耐火建築物がある場合は、別棟とする。ただし、それらが建物の機能上一体(内階段等で連絡している場合)である場合、同一棟とする。
ウ 耐火造の外壁を利用して建築物が建っている場合、別棟とする。ただし、主たる建物からの出入口がある場合及び機械設備が双方に連続している場合等建物機能上一体である場合は、同一棟とする。(別記図5)
エ 地下街や高架下に設けられた店舗、事務所、倉庫等については、その規模、構造等から算定するが、原則として1つのブロックごとに別棟として取扱うものとする。(別記図6)
オ ピロティ部分にスチール製物置(床面積1.5平方メートル以上のもので通常人が容易に出入りできる高さ概ね1.8メートル以上)を置いて使用している場合、この物置とピロティ部分は別棟とする。ただし、ピロティとして作られた部分を仕切り、雑品倉庫として使用している場合は、ピロティ部分を用途替えしたものと解釈し同一棟とする。(別記図7)
(建物火災における階数の算定)
第6条 建物の階数の算定は、建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第2条第1項第8号に定めるところによるものとする。
(車両火災における車両の区分)
第7条 車両火災における車両の区分は、次のとおりとする。
(1) 「自動車車両」とは、第2号の鉄道車両以外の車両で、原動機によって運行することができる車両をいう。
(2) 「鉄道車両」とは、鉄道事業法(昭和61年法律第92号)における旅客及び貨物の運送を行うための車両又はこれに類する車両をいう。
(焼損程度の取扱い)
第8条 焼損程度の取扱いは、次のとおりとする。
(1) 建物の焼損程度は、建物の延べ面積(建物の各階の床面積の合計)に対する焼損床面積の占める割合による。ただし、焼損表面積で算定する部分のある場合は、建物の評価額に対する当該建物の焼き損害額の占める割合によるものとする。
(2) 車両、船舶及び航空機の焼損程度は前号ただし書を準用する。
(事後聞知火災の取扱い)
第9条 事後聞知方法で覚知された火災(以下「事後聞知火災」という。)の調査は、次のとおりとする。
(1) 事後聞知火災における火災の認定は、調査員が火災現場(焼損又は爆発による損害物件)を現認することを原則とする。ただし、車両、船舶、航空機及びその他の火災に限り警察機関が撮影した現場の写真及び当該火災に関係ある者の申述があった場合は、火災として認定することができる。
(2) 事後聞知火災の鎮火時分は、焼損物件及び関係者の申述から総合的に判断して決定するものとする。
(3) 爆発損害のみの事後聞知火災の鎮火時分が、出火時分とほぼ同時刻と推定される場合は、出火時分の後を鎮火時分とするものとする。
(4) 自然鎮火した事後聞知火災で出火時間の決定が困難な場合は、出火時分を不明とすることができる。
(世帯の算定)
第10条 世帯の算定は、住居及び生計を共にしている人の集まり又は独立して住居を維持する単身者を1世帯とし、次に掲げるものについて当該各号に定めるところによるものとする。
(1) 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に定める学校、同法第124条に定める専修学校に在学している者で、通学のために寄宿舎、下宿その他これらに類する宿泊施設に宿泊しているものは、その宿泊施設ごとに1つの世帯とする。
(2) 病院又は診療所に引き続き3箇月以上入院し、又は入所している者は、その病院又は診療所ごとに1つの世帯とする。
2 ホテル、旅館、簡易宿泊所、下宿その他営利を目的とする宿泊施設又は従業員のための宿舎に住居のある単身者は1つの世帯とする。
3 前2項のほか、世帯数の算定方法については、国勢調査令(昭和55年政令第98号)の例によるものとする。
(り災世帯及び人員の計上)
第11条 り災世帯及び人員の計上は、次のとおりとする。
(1) り災世帯は、人の現住する建物(附属建物は除く。)又はその収容物がり災したときに計上する。なお、共同住宅については、居住のために占有する部分又はその収容物がり災したときとする。
(2) り災人員は、原則としてり災世帯の構成人員を計上する。なお、寄宿舎、下宿等については、被害を受けた部屋の居住人員を計上し、共用部分で受けた火災損害については、実際に被害を受けた人員のみを計上するものとする。
(火災による死傷者)
第12条 火災による死傷者は、次の者をいう。
(1) 火災現場において火災に直接起因するとは、客観的相当因果関係において、死亡し、又は負傷した原因を遡り火災に求められているものをいい、病気に起因したものは除かれる。
(2) 火災による死傷者とは、火炎、高熱、煙その他有毒ガス等が作用して死亡若しくは負傷した者、又は当該火災に係る消火活動、救助活動若しくは避難行動に基づき死亡し、若しくは負傷した者をいう。
(質問調査書等の録取要領等)
第13条 質問を行うにあたっては、場所、時期などを考慮して被質問者の任意の申述を得るようにすること。なお、個人のプライバシーに関する事項の質問は、第三者が不在の場所で行うものとする。
2 質問を行うにあたっては、自己が期待し、又は希望する申述内容を相手方に暗示するなどの方法により誘導してはならないこと。
3 伝聞による申述で調査上必要なものは、その事実を直接経験した者の申述を得るものとすること。
4 外国人に対する質問は、通訳の可能な関係者等を探し求めた上で、正確な情報を得ること。
5 記録した申述内容は、被質問者に読み聞かせるなどして記載事項に誤りがないことを確認するものとする。
(現場保存)
第14条 現場保存にあたっては次の項目に留意するものとする。
(1) 消防活動に伴い、物件を移動し、又は破壊する場合は必要最小限にとどめ、現場の状況を写真撮影により記録する等の配慮をしなければならない。
(2) 現場保存の区域は、必要最小限にとどめ、ロープ等によりその範囲を明確にするものとする。なお、区域の確保にあたっては、所轄警察署と連携を密にして行うものとすること。
(決裁の取扱い)
第15条 決裁の取扱いは、別記の決裁区分によるものとする。
附則
この訓令は、平成30年7月5日から施行する。
附則(令和6年訓令甲第5号)
この訓令は、令和7年1月1日から施行する。