○不破消防組合分限処分に関する指針
平成26年10月1日
制定
第1 趣旨
この指針は、地方公務員法(昭和25年法律第261号。以下「法」という。)第28条第1項に規定する分限処分を行う場合の具体的な手続等を定め、一定の事由により職責を十分に果たすことのできない職員に対して厳正かつ適切に対応することにより、公務の適正かつ能率的な運営を確保することを目的とする。
第2 分限事由及び処分内容等
1 分限事由及び処分内容
職員が、次の分限事由に該当すると認められる場合は、それぞれに定める処分を行う。処分に当たっては、当該職員が現に就いている職に求められる役割を果たすことが困難で、下位の職であれば良好な職務遂行が期待できるときは、職務遂行能力等に応じた職に降任させるものとし、現に就いている職だけでなく、公務員として通常要求される勤務実績や適格性が欠けているときは、免職とする。
(1) 勤務実績不良(法第28条第1項第1号関係)
担当すべきものとして割り当てられた職務(以下「担当業務」という。)を遂行してその職責を果たすべきであるにもかかわらず、その実績が不十分な職員(出勤状況又は勤務状況が不良な職員を含む。)は、免職又は降任とする。
(2) 心身の故障(法第28条第1項第3号関係)
将来回復の可能性のない、又は病気休職(法第28条第2項第1号に掲げる場合における休職をいう。以下同じ。)の期間中には回復の見込みの乏しい長期の療養を要する疾病のため、職務の遂行に支障がある、又はこれに堪えない職員は、免職又は降任とする。
(3) 適格性欠如(法第28条第1項第3号関係)
簡単に矯正することのできない持続性を有する素質、能力、性格等に基因してその職務の円滑な遂行に支障があり、又は支障が生ずる高度の蓋然性が認められる職員は、免職又は降任とする。
(4) 受診命令違反(法第28条第1項第3号関係)
病気休職の期間が満了するため又は勤務実績不良若しくは適格性欠如の状態が心身の故障に基因することが疑われるため、医師の診断を受けることを命令したにもかかわらず、これに従わない職員は、免職とする。
(5) 行方不明(法第28条第1項第3号関係)
原則として1月以上にわたり行方不明(意図的に継続して無断で欠勤するなど懲戒事由に該当することが明らかな場合又は水難、火災その他の災害によることが明らかな場合を除く。)の職員は、免職とする。
2 分限事由に該当する可能性のある職員の具体的事例
分限事由に該当する可能性のある職員(以下「対象職員」という。)の事例は、概ね次のとおりである。
(1) 勤務実績不良又は適格性欠如(以下「勤務実績不良等」という。)の場合
ア 初歩的な業務上のミスを繰り返し、又は業務の成果物若しくは処理数が職員の一般的な水準に比べて著しく劣る。
イ 所定の業務の処理手続を無視し、又は上司への報告、相談等を怠るなどして、独断で業務を行う。
ウ 業務を一人で処理することができず、常に上司、他の職員等の支援を要する。
エ 所定の業務に係る処理の期限を守らず、又は正当な理由なくその業務を行わない。
オ 正当な理由なく、上司の指導又は職務命令に従わない。
カ 勤務時間中、頻繁に無断で自席を離れ、又は業務に関係しない電話、電子メール又はインターネットに興じるなどして職務に専念しない。
キ 事前に年次休暇等を申請せずに欠勤を繰り返し、業務に著しい支障を及ぼす。
ク 心身の故障による休職から復職したにもかかわらず、出勤状況又は勤務実績が改善しない。
ケ 上記アからクまでに掲げる事例以外で、勤務実績不良等が認められる。
(2) 心身の故障の場合
ア 3年間の病気休職の期間が満了するにもかかわらず、病状が回復せず、今後も職務の遂行に支障がある。
イ 病気休職中であるが、今後回復して就労が可能となる見込みがない。
ウ 病気休職から復職後、1年以内に再度の病気休職(心身の故障の内容が明らかに異なる場合を除く。)となり、休職期間が通算して3年に至るにもかかわらず、病状が回復せず、今後も職務の遂行に支障がある。
(3) 適格性欠如の場合
ア 上司や他の職員等に対する暴力、暴言、ひぼう又は中傷を繰り返す。
イ 協調性に欠け、上司や他の職員等ともめごとを繰り返す。
ウ 粗暴な言動等により町民ともめごとを繰り返す。
エ 受診命令書を交付して再三にわたり指定する医師2名の診察を受けることを命令したにもかかわらずこれに従わない。
オ 1月以上にわたり、行方不明となっている。
カ 公務員に必要な適格性に疑問を抱かせるような問題行動を繰り返す。
第3 対応措置
1 勤務実績不良及び適格性欠如職員
勤務実績不良の職員又は職務への適格性に疑いを抱かせるような問題行動を起こしている職員に対しては、一定期間にわたり、注意・指導を繰り返して行うほか、必要に応じて担当職務の見直し、研修等を行い、それによっても勤務実績不良の状態又は適格性に疑いを抱かせる状態が継続する場合には、分限処分が行われる可能性がある旨警告する文書(別記様式第1号以下警告書という)を交付する。
その上で、一定期間経過後もこれらの状態が改善されないことにより当該職員が勤務実績不良又は適格性欠如に該当するときには、分限処分を行う。
2 心身の故障職員
3年間の病気休職期間が満了するにもかかわらず心身の故障の回復が不十分で職務遂行が困難であると考えられる場合、病気休職中であって今後職務遂行が可能となる見込みがないと判断される場合又は病気休暇や病気休職を繰り返してそれらの期間の累計が3年を超え、そのような状態が今後も継続して、職務の遂行に支障があると見込まれる場合には、医師2名の受診をさせて、心身の故障に該当するか判断する。
3 受診命令違反職員
3年間の病気休職期間が満了するに当たって心身の故障の回復が不十分で職務遂行が不可能であると考えられたことなどから、再三にわたり医師の受診を命じたにもかかわらずこれに従わない場合又は勤務実績不良若しくは職務への適格性に疑いを抱かせるような問題行動を起こしている職員について、それらが心身の故障に起因すると思われるため再三にわたり医師の受診を命じたにもかかわらずこれに従わない場合には、医師2名の受診を受診命令書(別記様式第2号)により命じ、これに従わないときは、受診命令違反により免職とする。
4 行方不明職員
原則として1月以上にわたる行方不明は、免職とする。
第4 手続き
1 勤務実績不良及び適格性欠如
(1) 注意・指導、担当職務の見直し等
所属の管理監督者は、勤務実績不良の職員又は職務への適格性に疑いを抱かせるような問題行動を起こしている職員に対し、勤務実績の改善を図るため又は問題行動を是正させるための注意・指導を繰り返し行うとともに人事評価における行動記録票に記録を行う。また総務課長は、必要に応じて、担当職務の見直し、又は研修に対する助言及び支援を行うなどして、勤務実績不良の状態又は適格性に疑いを抱かせる状態が改善されるよう努める。
(2) 警告書の交付(別記様式第1号)
(1)の措置を一定期間継続して行っても勤務実績不良の状態又は適格性の欠如と評価することができる行為が頻繁に見受けられるなど適格性に疑いを抱かせる状態が続いている場合には、管理者は、当該職員に対して以下の内容がある警告書を交付する。
ア 勤務実績不良又は適格性欠如と評価することができる具体的事実
イ 勤務実績不良又は適格性欠如と評価することができる状態の改善を求める旨の文言
ウ 今後、これらの状態が改善されない場合には、勤務実績不良又は適格性欠如に基づいて分限処分が行われる可能性がある旨の文言
(3) 弁明の機会の付与
管理者が職員にイの警告書を交付した場合には、当該職員に弁明の機会を与える。
(4) 警告書交付後の観察
所属の管理監督者及び総務課長は、警告書交付後も、一定期間注意・指導等を行いつつ、勤務実績不良の状態又は適格性に疑いを抱かせる状態が改善されているかどうか、注意深く観察・確認を行う。
(5) 分限処分
管理者は、(1)から(4)までの措置を講じたにもかかわらず、職員の勤務実績不良の状態又は適格性に疑いを抱かせる状態が改善されていないことにより当該職員が勤務実績不良及び適格性欠如に該当すると判断した場合は、分限処分を行う。
(6) 留意点
ア 資料収集
勤務実績不良又は適格性欠如に該当するか否かの判断は、単一の事実や行動のみをもって判断するのではなく、一連の行動等を相互に有機的に関連付けて行うものであるので、客観的な資料を収集した上で行う必要があり、特に、仕事上の失敗・トラブル・第3者からの苦情等の具体的な事実が発生した場合には、その都度、詳細に記録を作成しておく。
また、注意・指導、警告書の交付等の措置を行った場合は、その内容を記録しておく。
イ 問題行動が心の不健康に起因すると思われる場合
問題行動が心の不健康に起因すると思われる場合には、管理監督者は職員に積極的に話しかけて事情を聞くほか、必要に応じ同僚等に職員の状況の変化の有無を聞き、また、衛生管理者、健康管理医、専門家等と対応を相談する。
ウ 懲戒処分との関係
問題行動が懲戒処分の対象となる場合には、管理者は、総合的な判断に基づいて懲戒処分を行うなど厳正に対応する必要がある。
エ 降任と免職
分限処分を行う場合、良好な職務遂行が期待できると判断するときには降任処分とし、それが期待できないと判断するときには免職処分とする。
オ 行為の態様等に応じた手続の省略
問題行動の態様や業務への影響等によっては、管理者の判断と責任に基づいて、裁量の範囲内で、警告書の交付などの手続を省略することができる。
2 心身の故障
(1) 医師2名による診断
管理者は、職員が3年間の病気休職期間が満了するにもかかわらず心身の故障の回復が不十分で職務遂行が困難であると考えられる場合、病気休職中であって今後職務遂行が可能となる見込みがないと判断される場合又は病気休暇や病気休職を繰り返してそれらの期間の累計が3年を超え、そのような状態が今後も継続して、職務の遂行に支障があると見込まれる場合には、当該職員に対して、心身の故障に該当するか否かを判断するために、医師2名を指定して受診を促す。この場合において、職員が指定された医師2名の診断を受けようとしない場合には、職務命令として受診を命ずる。
(2) 医師2名の診断結果による判断
ア 医師2名により心身の故障があると診断された場合
指定した医師2名によって、診断(長期の療養若しくは休養を要する疾患、又は療養若しくは休養によっても治癒し難い心身の故障があるとの診断)がなされ、その疾患又は故障のため職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えないことが明らかな場合は、分限処分とする。
イ 医師2名による心身の故障があるとの診断が得られなかった場合
指定した医師2名のうち、少なくとも1名が診断をしなかった場合には、心身の故障に該当すると判断することはできず、職員本人及び主治医・健康管理医等と相談の上、円滑な職場復帰を図っていくなどの対応を行う必要がある。
(3) 留意点
ア 医師による適切な診断を求める努力
心身の故障の回復の可能性の判断は、医師の専門的診断に基づく必要があるが、職場の実態や職員の職場における実情等について、診断する医師の十分な理解を得ることなどを通じて、適切な診断を求めていくことが必要である。
イ 病気休職期間満了前からの準備
3年間の病気休職の期間が満了する場合には、その期間満了前から、当該職員や主治医と緊密に連絡を取って病状の把握に努め、医師2名の診断を求める必要があるかどうか検討しておく。
ウ 複数の異なる内容の心身の故障が原因の場合
病気休暇や病気休職を繰り返してその累計が3年を超える場合であっても、例えば、精神疾患の病状が回復し職場復帰した後に交通事故による外傷によって病気休職等とされた場合のように、当該病気休職等の原因である心身の故障の内容が明らかに異なるときには、この事例には該当しないものとして取り扱う。
3 受診命令違反
(1) 受診命令書の交付(別記様式第2号)
ア 任命権者の指定する医師2名の診断を受け、診断書を提出するよう命ずる旨の文言
イ この受診命令が受診命令違反に該当する可能性があるか否かを確認することを目的とするものである旨の文言
ウ 正当な理由なくこの受診命令に従わない場合、受診命令違反に該当するとして分限免職が行われる可能性がある旨の文言
(2) 分限免職
(1)の受診命令書の交付により行う受診命令に対し、職員が正当な理由なく従わない場合、受診命令違反により分限免職とする。
(留意点―適格性欠如の要件を確認しておく必要性)
この分限免職は、受診命令違反に基づく処分であるから、職員が正当な理由なく受診命令を拒否したことのほか、以下のことを確認して行うことが必要である。
ア 当該職員が有していると思われる疾患又は故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない状況にあると認められること。
イ 受診命令拒否その他の行動、態度等から、当該職員が職務に必要な適格性を欠くと認められることを客観的資料により確認すること。
4 行方不明
被処分者となる職員の所在を知ることができないときには、公報等に処分内容を掲載する。
分限処分の指針における手続きの流れ